社長の・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ひとりごと




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> 2021年 5月 5日  人は多くの側面から物事を見るのが苦手(5)
これまで「楽(らく)したがる(=自分に都合よく行動する)脳」を考えてきたけれど、どうも違和感がある。
一般には「脳」=「意識」のイメージだが、実際には、「意識」と「脳」は別物。
意識する「自分」とは別に自分がいる?「楽したがる」のは「別の」の自分?

「意識」とは別に「脳」が動いていることは、既に証明されている。例えば、コップを手に取ろうとする意識の数ミリ秒前に、既に「脳」は目的や腕の動きを計算し始めている。つまり「意識」は後付け。 だから、「脳」が思わぬ行動を取ってしまった後で、「意識」は辻褄が合うように言い訳することもある。
ただ、脳の「運動を司る部分」とか「○○を感じる部分」は特定できても、「意識の部位や仕組み」は見つかっていない。脳科学者に言わせると、「脳科学の最大、かつ最後の課題」(どんな表現だったか忘れた)。

芸術家が作品を作るのも、一流シェフが創作料理を作るのも、また、それを見て(聴いて、食べて)我々が共感、感動するのも、「意識」より、まず「脳」が先だろう。「意識」は、その感動を、あまりの複雑さ故に説明できない。

多次元(多側面)で認識するのが不得手なのは「意識」の方で、別の自分、つまり「脳」の方は実行できている可能性がある。「人の性格」にしても、単純化したがるのは「意識」の方で、「脳」は多次元で相手の性格を見抜いているかも。
意識されない「脳」の出した多次元分析結果をアウトプットしたければ、同レベルの多次元手法、例えば、ダンスのような全身表現、絵画、楽器演奏、とか。
夢は、その元ネタは実体験の出来事なのに、自分には考えも付かなかった展開がよくある。それは「脳」が勝手に作っている物語。科学者の直感も芸術家の創作も、これと同じ。言語や記号を使って論理的に説明しようとする「意識」にはできない芸当。

脳の特徴を一言で表すと…
半世紀以上も前、昭和の流行歌で「分かっちゃいるけど、やめられない」という歌詞があったけれど、まさにこれ。
「分かっちゃいる」と言い聞かせるのは「意識」の自分で、「やめられない(やめようとしない)」のは「脳」の自分。

そこにAI(人工知能)の恐るべき将来が見える。
 
> 2021年 5月 4日  人は多くの側面から物事を見るのが苦手(4)
動物ではなくて、「歴史から学ぶ」っていうのも人気。特に江戸時代や戦国武将に学ぶ本は多い。
江戸だけでなく、昭和とか、「古き良き時代」を懐古する人は多いかも。
「懐古」というのは、どうしてもフィルター、しかも自分が望むフィルターを脳が用意するから、いつもバラ色。

映画の台詞:
Illusions are dangerous people. They have no flaws. <"Sublina": Paramount, 1995>

そう、過去を振り返るのは、自分の思う方向への誘導であって、(都合の悪い)欠点が無い。だからこそ、常に多次元(多側面)で考えることを意識しないと、「楽したがる脳」に負けてしまう。
いくら江戸時代が「古き良き時代」に見えても、別の側面から見れば、ちょっと長雨や日照りが続くと、大川に餓死者の死体が幾つも流れてきて、江戸っ子も死体に慣れっこという有様。「川の死体は沖へ押し流すこと」なんていう御触れも出ている。だから、のどかな生活と言えるかどうか。記録を見ると毎年、全国あちこちで一揆が起きている。
 
> 2021年 5月 3日  人は多くの側面から物事を見るのが苦手(3)
色々な動物から「学ぶ」ことはできなくても、その動物が「なぜそうなのか」といった理由を考えるのは勉強になる。例えば、コウモリ。

疫病やウィルスの話題で必ず出てくるのが「コウモリ」。それは、たぶん(推測)、ひとくくりで「コウモリ」って言ってしまうから。
コウモリは960〜980種ぐらいいて、それは哺乳類の1/4近くを占める。ネズミ(1700種)の次に多い。しかもネズミと違い、生活圏が多様で、人間の居住地から、高地、北極圏など、どこにでもいるから(いないのはたぶん南極ぐらい?)、あらゆる動物に遭遇し、つまり、あらゆる菌やウィルスと接触する可能性がある。少なくとも6500〜5000万年前から、菌やウィルスと上手に付き合う方法を模索してきたわけ。
なぜそこまで繁栄できたかを調べると、ずばり理想的な企業の生き残り戦略そのもの。

(1)大胆な発想転換
敵の多い地上に見切りを付け、空へ。ついに、排泄から出産まで逆さまにぶら下がってできるまでに進化してしまった。

(2)共存共栄…共倒れしない多角経営
大企業でもよく見かけるのが、社内の部門間での競争とか、グループ会社同士の競争。社長は、社員たちを競争させれば売上が上がると思っている。でもコウモリは違った。
各種族ごとに異なるものを餌として分化したので、ある食物が危機的状況でも、他の種族(部門)は残る。
昆虫類から魚、蛙、トカゲ、それに小型哺乳類、それから果実、花蜜、花粉、サボテン、さらにはサソリ、カニ、血液(牛などの大型動物の血を蚊のように吸う)、…、地上のあらゆるものを餌にすることで、絶対に他の種族(仲間)の生活圏を脅かさない。

(3)適正規模の維持…見かけより本質
恐竜のように大型化して効率を上げるような企業経営もあるけれど、コウモリは大型化しなかった。食物を絞らなかったことも大型化する必要性を抑えている。

(4)内部構造改革
哺乳類(恒温動物)のくせに、必要に応じて体温を上げ下げ(1℃程度)できるように体を進化させ、エネルギーコストを抑えられるようになっている(冬眠ではない)。恐るべし。

(5)計画生産、着実な成果の確保
出産時期を気候や餌の状況に合わせて調節し、確実に子孫を残すよう体を進化させている種族もいる。受精卵の着床を遅らせるなどというのは序の口で(ヒグマやパンダでも見られる)、精子を一定期間、雌の体内に貯蔵したり(精子は外来物だから、他の動物では免疫作用で抹殺される)、着床後でも発育を一時停止し、出産時期を調整するからすごい。

その他にも、餌を取れなかった仲間に餌をくれてやったりする。それが「純粋な自己犠牲」なのか、それとも将来の恩返しを期待してのことなのか、学者さんたちの議論は絶えない。しかし、仲間意識が強いことは確か。

これは神のなせる技(進化)の「説明」であって、人間社会の手本にはならない。
 
> 2021年 5月 2日  人は多くの側面から物事を見るのが苦手(2)
色々な動物から「学ぶ」という類いの本。結構、人気があるようだ。

山極寿一:人生で大事なことはみんなゴリラから教わった(家の光協会、2020年)
養老孟司、山極寿一:虫とゴリラ(毎日新聞出版、2020年)
養老孟司:虫は人の鏡(毎日新聞出版、2020年)
などなど。
これは日本に限ったことではなく、例えば Harvard Business Review では、「biomimicry」として紹介している。
How to Plan Your Life When the Future Is Foggy at Best, February 11, 2021.

探せばたくさんあると思うけれど、読者の多くは勘違いする。

ゴリラのリーダー格が弱者をかばい、助けるのは、それを「善(最善)」と思ってやっているわけではないだろう。乏しい食糧、過酷な自然、他グループとの争い、捕食者との熾烈な戦い、その中で「種を保存」するには、本能的に「それしか選択肢が無い」。
虫だって同じ。小さな脳では、その行動しか選択肢が無い。

でも、人間は知恵、道具、仲間、色々な選択肢や組み合わせがあるのだから、その時、その状況に応じて考えれば良くて、ゴリラや虫は参考にならない(状況の根底が違う)。
それは、ゴリラや虫の立場になって考えれば分かることだが、人間は、つい自分たちの世界という一側面から動物を見るから、「虫でも、そんなことをやっているのか!」と感情移入する。
ちなみに自分は動物学、大好きで、目に付く本を片っ端から読むけどね。
 
> 2021年 5月 1日 人は多くの側面から物事を見るのが苦手(1)
脳はいつも刺激的の方、簡単な(楽な)方を選ぶ。
典型的な例は「二元論」。Googleで二元論を調べると、本来は哲学的、論理学的な難しい領域らしいけれど、一般には物事を単純に二つに分けて考えてしまうこと(哲学はよく分からん)。
例えば、https://ut-c.co.jp/archives/1438 のサイトでは、
「売れる」と「売れない」
「できる」と「できない」
「発展国」と「途上国」
「金持ち」と「貧乏」
「成功」と「失敗」
など、例を挙げ、「二元論で物事を見てはいけない」と忠告。ごもっとも。
だが、どうしても人間(の脳)は単純な方が好き(らしい)。

二元ではないけれど、未だに日本で流行っている「血液型性格(占い)」も同じ。人は複雑な生き物だが、相手のことを何としてでも知りたくて、奇妙な単純化を受け入れる。米国の教授(知人)が日本の血液型占いの話を聞いて、開いた口が塞がらないくらい驚いて、「それってハラスメントにならんのか?」と一言。私は「そんなことより、そんなことを信じる日本人の知能が問題」と答えた。
南米あたりでは、O型がほぼ100%の地域もあるようだが、…ってことは、彼らは全員、同じ性格?自分もO型なんだけど、ブラジル人って、皆さん、自分みたいに理屈っぽくて、細かいことをいつまでも気にする、暗い?人たちなのか?

※血液型の決定遺伝子が、性格(そもそもその定義が分からん、雰囲気で分かった気になっているだけ?)形成の脳の遺伝子と関連するとは思えないけれど、確実に遺伝するわけだから、別の「確実に遺伝する」遺伝子と並行して子孫に伝わるとか、生活習慣が同じとかで、偶然、同じような「性格(行動特性)」になることは、あるだろうね。

ともかく、理解不能なことを、それでも知りたいとき脳は単純化したがる。数学者ならともかく、ほとんどの人は、3次元、4次元、…となったら、もうお手上げ。

庶民的(哲学ではない)二元論がなぜ問題か?それは、「真実は二元では無い」から。

例えば、「成功と失敗」と言っても、仕事のできる人なら、「失敗」の中にも色々な学習成果があって、必ずしも失敗とは言えない、などとすぐ気が付く。なのに、頭の回転の悪い経営者などは「失敗」か「成功」、どちらかに分類したがる。その時点で、大切な情報を切り捨てている。
学問でも「偽二元論」は多い。数学では「線形数学」と「非線形数学」に分けるときがある。線形数学は明らかに「線形」な現象を扱うけれども、「非線形」って何?線形でない現象には、折れ線もあれば、曲線もあれば、不連続もある。つまり、コンピュータのように「0」と「1」に分けたのではなく、「0」とそれ以外に分けただけ。
それでも、偽二元論によって、脳は分かった気になり、スッキリ。脳はとにかく楽したがる。

二つに分けると、あまりに分かりやすくて、真実を見失う。
最悪な例の一つは「善玉、悪玉」コレステロール。何これ?と言いたくなる。何も知らないくせに知ったかぶりの愚鈍な人類の脳が、勝手に「善」と「悪」に分ける。凡人は、分かった気になって信じる。
(2023年5月追加)「善玉、悪玉コレステロールは今や常識」と言ってきた人がいたので、追加。こういう人ほど、何が「悪」なのか、調べようともしない(「鵜呑み」というやつ)。「悪玉」と言われるのはLDL(低比重リポ蛋白)の方だけれども、結局、おおもとを正せば、その人が紫外線を多く浴びたり、偏った食事、夜更かしなど不規則な(生体リズムを無視した)生活によって体内の抗酸化物質不足を招いたせいでLDLが悪さすることになる。自分のせいなのに他者を原因・理由に仕立てたがる人間の悪い癖。言葉というのは恐ろしい力を持ち(だから大昔から言霊-ことだま-と言う)、「善」「悪」と名付けてしまうと、愚かな大衆は「善」だけを摂取しようとする。
 
> 2021年 4月 1日  「格差」は人類の宿命
「おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう。」
マタイによる福音書25:29 … 紀元元年前後?

特に経済に限って表現しているわけではないが「富裕者はより富み、貧乏人はより貧しくなる」ことを示唆。このことを社会学では「マタイ効果(Matthew effect)」…「また行こうか」じゃないよ…と呼ぶらしい。
紀元前から言われている、ってことは、昨今の経済格差(国でも個人でも)の拡大は、資本主義とは無関係。何やっても格差は無くならない…どころか、経済や技術革新が進めば進むほど拡大。人間の本質?

そして格差は経済だけでなく、人間の持つあらゆる属性 − 知能、技能、仕事の業績、地位、− にも当てはまることを、昔の人は気付いていたということ。
最終的には、人類はコントロール階級と実労働階級に分かれる。実労働階級は経済的にも恵まれず教育の機会も少ないから抜け出すのは難しいし、コントロール階級は実労働階級を確保したいから支援はしない。
そして先端技術のスマホやゲーム機、そしてテレワークが格差拡大を加速させる。
 
> 2021年 1月 1日  なぜ、手を合わせる?
正月、というと初詣。そして初詣と言えば、神社で手を叩く。なぜ?
神社の場合、神様に「お参りに来ましたよ。(天から、あるいは山から)降りてきて下さい」とお知らせ、お願いするため。

どうも人間は心を込めた行動の際に、両手を合わせる癖があるらしい。色々な映像を見ても、かなり世界共通。なぜ?

無意識の素振りは面白くて、脳のどこかに活発な発火(神経活動)があったり、逆にうまく作動しない部位があると(考えがまとまらない、思いつかない、とか)、そこを何とかしたいという願望からか、頭に手が行く。直接触れられるわけでもないのに、手が頭をかきむしったりする。
両手を合わせるのは、分離している脳半球を繋ごうという意識なのかな?
左右の脳半球は「橋(きょう)」で連絡されているものの、別々の機能を任されているから、心を込める祈りのときは、左右一体となって任務に当たって貰いたい?
また、手を叩くことで、左右の脳が同時に活性化し(右手は左脳を、左手は右脳を)、連携度はますます高まる。
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